定量位相顕微鏡の測定例

測定例7:好中球貧食時の開口放出

生物細胞の高速現象を解析できる

 好中球は貪食時に屈折率の高い顆粒内容物を開口放出することが知られています。この顆粒の分布と開口放出の様子を定量位相−明視野デュアルイメージング顕微鏡を用いて可視化、解析を行いました。
 図7−1は定量位相-明視野デュアルイメージング顕微鏡の構成図です。定量位相測定と同時に明視野測定を行うために、追加照明部として集光型ホロライトHL03Gを導入しています。集光型ホロライトの持つ高い開口率と長い作動距離の特長により、高品質な明視野像の取得が可能です。一方、定量位相測定により屈折率の高い顆粒を特徴的に測定できます。
 図7−2は明視野と定量位相と融合像の時間変化の様子を示しています。明視野像から好中球内部に異物が存在していることが確認できます。定量位相画像から異物の周辺に定量位相値が大きな領域が存在しており、多数の顆粒が存在していることが推測できました。さらに明視野と定量位相の融合像を動的観察することにより、異物周辺部で開口放出により顆粒が消滅し、全体的に高かった定量位相値の領域が減少していくことが分かりました。
 図7−3は開口放出時の顆粒部の光学距離値の変化を示しています。開口放出後、約20ミリ秒間で光学距離値が約40nm程度減少しており、その後、光学距離値が上昇していることが確認できました。このように非常に高速な現象を定量的に解析することができます。
 定量顕微鏡は蛍光材料などを用いずに非侵襲で生きている細胞の定量情報を取得することができるために、医療や創薬分野の研究開発ツールとして貢献します。

図7-1 定量位相 - 明視野デュアルイメージング顕微鏡

図7-2 明視野と定量位相と融合像の時間変化

図7-3 開口放出時の顆粒部の光学距離値の変化

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